学びの友セト

クライアントは元々教師をされていた方で、これからは発達に特性のある子どもたちに、「居場所をつくりたい」「学ぶ楽しさを知ってもらいたい」という思いで新しく放課後等デイサービスを設立するため、その入り口としてコーポレートサイトを作りたいとご依頼をいただきました。

土台から一緒に固めていく

はじめにいただいたご要望から「どんなコンセプトの放課後等デイサービス施設で、サイトを訪れた方には何を伝えたいのか」などといった根本的な内容から、しっかりと一緒に定めていく必要性を感じました。
こういった場合、ディスカッション形式で要件を定義していく進め方で、且つクライアントの思い・温度感を感じ取りやすいオフラインでの打ち合わせが一番適切だと判断し、お時間をいただき直接お会いしてきました。

伝えたい情報の構成と優先度を整理

打ち合わせでは、どういった想いを持って施設を立ち上げるのか、どういった方に通ってほしいのか、サイトを訪れた方にどんなことを感じてもらいたいのか等をヒアリングし、サイトに記載する情報やその構成・優先度を整理していきました。
打ち合わせの中で何度も出てくるワードがあり、それは「子どもたちに無理な押し付けはしたくない」「個々の特性を最大限に伸ばしたい」というものでした。頻出するだけではなくそのワードを発する際の表情や声量から熱量も伝わってきたため、これを核にサイト作成を進めることにしました。
学びの友セトは、「子どもたちが自分らしくいられる場所」且つ「子どもたちの特性・強みが開花する場所」でありたいということから、施設およびサイトのキャッチコピーを【自分らしさが花咲く場所】と定め、サイトを訪れた方に一番はじめに伝えたい情報としてTOPページのファーストビューに記載いたしました。
他にも伝えたい情報の優先度に準じて導線を組み、ページ設計をしていきました。

ビジュアルのすり合わせ

ビジュアル面については、他デイサービス施設のサイトの調査結果を元に打ち合わせを進めたところ、写真をあまり使用しないイラストを基調としたデザイン案がご希望だったため、おおまかなイラストの雰囲気まで認識をすり合わせしました。
イラストの内容は「学びの友セト」の雰囲気が伝わるように、施設写真撮影時に訪れた際に象徴的であった事柄や、想定し得る通っている子ども達の様子を表現しました。

また、打ち合わせ中にクライアントの過去まで遡ってお話を聞いていると、そこでも制作のヒントを得ることができました。
クライアントが小学校の教諭だったころに、昔話の「かさこ地蔵」の絵を描く授業をしていた際、ある生徒が「先生、ぼく間違えてお地蔵さまを7人描いちゃった。これじゃあお地蔵さんの頭にかぶせるものが1つ足りない。どうしよう。」と相談してきたことがあったそうです。（昔話ではお地蔵さまは6人。おじいさんは雪が降る中持っていた笠5つと、自身が付けていたほっかむり１つをお地蔵さんにかぶせてあげるというお話し）
その時「そうか、じゃあ描き直そうか」と言って新しい画用紙を渡すこともできたのですが、その時は「そうか、君はどうしたら良いと思う？」と逆に聞き返してみたそうです。するとしばらく生徒は考え、「良いこと思いついた！僕がいつも被っているこの帽子を被せてあげたら良いんだ！」と言って、生徒が普段被っている黄色い帽子を7人目のお地蔵さんに描いて被せてあげたそうです。
それからクライアントは、自分で考えて独自の発想で問題を解決するといった、単純な学力だけではない「学び」の面白さに改めて気づき、それ以来そういった「学び」を大切にして生徒たちと触れ合ってきたそうです。また、これから立ち上げる放課後等デイサービス「学びの友セト」でもそのような「学び」の楽しさを伝えていきたいと語っていただきました。
施設コンセプトの核となっているこのエピソードは絶対にサイトに盛り込むべきだと判断し、TOPページのファースビューにイラストを描きました。

制作の進め方

制作の進め方についてですが、まずはTOPページのデザイン案のご提案と、サイト全体の構成・内容をワイヤーフレームでご確認いただきました。この段階で、ビジュアルのトンマナとテキストの内容をしっかりと擦り合わせることが出来たため、この後に控えていたTOPページデザインを全ページへ反映させる工程がとてもスムーズに進みました。

ロゴデザインについて

ロゴデザインですが、キャッチコピーである【自分らしさが花咲く場所】を体現するデザイン案をご提案しました。
左側のシンボルマークは「人」を表す要素が集まり「花」の形状を構成していて、【色んな特性を持った「人」たちが集まって、それぞれの特性や強みを「開花」させたい】という想いが込められています。