久留農園
制作過程
ECサイトへも販路を広げていきたい
久留農園では栽培しているきんかんは市場に卸す以外に、個別で自宅にて販売対応もしているのですが、そのために自宅で待機していないといけないことがあり、農園を運営していく中でつきっきりで対応するのが難しいという課題を抱えていました。そこで、その課題を解消すべくECサイトでも販売できるようしていきたいということで、ECサイトTOPページデザインのご依頼をいただきました。
制作のスタート
今回はご依頼をいただいた時点で、TOPページに配置するコンテンツが決まっており、また、shopifyのテーマ「Dawn」をベースにデザインしてほしいとご要望をいただいておりました。
ゼロからデザインしていくというよりも、ある程度要件が固まった状態でのスタートでした。
一見ゼロからスタートするよりも提案の幅や自由度が狭く思われがちですが、そんなことはありません。既に決まっているルールの中でいかにクライアントの要望に応えられるか、ユーザーの満足度を上げられるかを自由な発想で考え、制作することができるからです。
それぞれ違った「制作の面白さ」があり、NEARはどちらも大好きです。
写真はなるべく使わない
クライアントのご希望により、農園の写真はなるべく使用せずにイラストをベースにしたデザインで進めることになりました。
当たり前ですがサイトを訪れるユーザーには「A:きんかんを扱っているECサイト」であることがぱっと見で伝わる必要があります。
加えて「B:どんなところでどんな思いを持った人が作っているきんかんなのか」を伝えることが重要なため、A・Bが盛り込まれたデザイン・イラストの制作を進めました。
贈っていただいたきんかんから得たもの
なんと久留農園さまからご厚意で、ECサイトで実際に取り扱うきんかんを贈っていただきました。
きんかん自体がとてもおいしかったのはもちろんですが、きんかんが入っていた段ボール箱が制作のヒントに。
段ボール箱には「おひさまいっぱいあびたから元気をいっぱいにもっている。」という素敵なコピーが印字されておりました。
この言葉は久留農園の「きんかんに対する想い」であることはもちろん、今までずっとこのコピーと共にきんかんがお客様へ届けられていたことを考慮すると久留農園の「歴史」も表しているとても大切な言葉であるため、TOPページのファーストビューに記載することにしました。ここで前項で述べたBの一端が解決しました。
デザインパターンを制作
まずは「B:どんなところで作られているのか?」にフォーカスを当てたデザイン案として、共有していただいたきんかんハウス周辺の写真から、その空気感が伝わるようなイラストを制作しファーストビューに大きく表示するパターンをご提案しました。
イラストのテイストは風景画と相性の良い手描きの質感に。もちろん「A:きんかんを扱っている」こともテキストだけでなく視覚的にぱっと見で伝わるように「きんかん」を「おひさま」に見立てて描きました。
次のパターンは、「A:きんかんを扱っている」を伝えることに重点を置いたデザイン案に。彩度が高いオレンジとグリーンでファーストビューいっぱいにこれでもかと言わんばかりにきんかんを散りばめました。ここで大切なのはイラストの内容だけではなくテイストも最初のパターンとは同じにしないことです。「テイストは同じだけどイラストの内容違いで複数パターンを制作」するよりも「テイストも変えた上でイラストの内容も変えて複数パターンを制作」する方がクライアントにとっては選択する材料が増え、レスポンスの具体性が上がるかもしれないからです。「イラストの内容はどれも希望のものでは無いけど、テイストならこっちのパターンが希望に近いかも」といったお返事をいただけるかもしれません。
(※これはケースバイケースですので、クライアントと既にイラストのテイストについて固まっている状況で無理に別テイストへと提案を広げるのはもちろんNGです。)
最後は、きんかんを入れている段ボール箱をモチーフにしたデザイン案です。
ずっとお客様にきんかんを届けてきたこの箱には歴史が詰まっており、久留農園を象徴する大切な要素の一つであるため、サイト全体をきんかんの段ボール箱に見立てたデザイン案を作成しました。
ご提案の結果、デザイン案は1つ目のパターンを選んでいただきました。普段は確定したTOPページのデザイン案にて他ページ制作へ進むのですが、今回はTOPページのみのご依頼でしたのでこれにて納品となりました。
現在は売り切れとなっておりますが、きんかんのシーズンになりましたらぜひとも久留農園からお取り寄せいただければと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。